SMAS法 vs リガメント法。本当に効果的な「切るフェイスリフト」の選び方。

フェイスリフト解説ガイド

フェイスリフトは、ほうれい線を取り除くリフトアップ手術です

SMAS法 vs リガメント法。本当に効果的な「切るフェイスリフト」の選び方。

切るフェイスリフトを検討している方であればSMAS法とリガメント法、この施術に辿り着き、自分で調べている人が多いと思います。

しかし、難しい専門用語が多く、結局どの施術を検討すべきか、悩みが解決しないままではないでしょうか?

このページではフェイスリフトを理解し、人気のあるSMAS法とリガメント法の違いや、その術式を得意とするクリニックの選び方について解説していきます。

フェイスリフトの基本はSMAS法

2020年現在、多数あるフェイスリフト施術の基本はSMAS法です。

SMAS(スマス)とは、表情筋とつながっている筋膜のことです。この筋膜を引き上げることで顔のたるみやシワを改善するのがSMAS法と呼ばれます。

SMAS法はフェイスリフトの歴史の中でも早い段階で確立した術式で、リガメント法はそれを更に「複雑」にした施術なのです。

「発展」ではなく「複雑」にした、というのがポイントです。

リガメントとは?

リガメント(靭帯)とは、皮膚と筋膜そして筋肉を結び付けている結合組織の事です。

ここが重要なところですが、まず、顔はいくつかの層に分かれて構成されています。

一番上に、皮膚。
その下に、皮下脂肪。
その下に、筋膜(=SMAS)。
その下に、表情筋。

例えば、薄い紙や布がそのまま重なって置いてある状態を想像してみて下さい。そのままではちょっとしたことで動いてズレてしまいますよね。

いくつか固定させるポイントを作ることで、重なった層はズレることなく、連動して動くようになります。

例えば重なった布を貫くように、杭が刺さっていると考えてみて下さい。その固定ポイントがいくつかあるとズレませんよね。

その“杭”の役割を果たしているのがリガメントなのです。

フェイスリフトの歴史から施術を理解しよう

ここまででSMAS(スマス)は筋膜であること、そしてSMASを含む顔の構成組織を貫く“杭”の働きをしているのがリガメントだとお話してきました。

この基礎知識を元に、次はフェイスリフトの歴史を見てみましょう。

どうして歴史を?と思うかもしれませんが、これを見ていくと2020年現在に存在するリストアップ治療を理解が非常に深まると思います。

皮膚を引き上げる手術が始まり

フェイスリフトの始まりは20世紀初頭、1900年前半と言われています。

当時の手術は、耳の前やもみあげの付近を切開し、皮膚を引っ張り上げるというもの。

先ほどお伝えしたように、

一番上に、皮膚。
その下に、皮下脂肪。
その下に、筋膜(=SMAS)。
その下に、表情筋。

という構成を取っている中で、皮膚だけに働きかけている術式でした。

しかしこれは、より深いところで改善しないと効果は薄いので、若返り治療としてはより一層の改善が期待されました。

効果が弱いとされる一方、手術の時間が短かったり、負担が少ないというメリットがあり、現代においても「プチフェイスリフト」として採用しているクリニックもあります。

SMAS(スマス)を利用した術式が確立

70年代になると皮膚より深層にある筋膜(SMAS)を利用した術式が開発されます。

深い所にある筋膜に糸をかけて引き上げることで、たるみを改善する方法です。

手順としては、耳の付近から切開。SMASの上での剝離、引き上げを行います。より深い位置にある筋膜が引き上げられることで、その上にある皮膚に余りが出る形になります。その余った皮膚を切除して、切開部分を縫合。この一連の施術は3時間程度を要しますが、40代・50代のころに気になるような程度のたるみの改善に効果が期待できます。

今なお採用されている術式で、「SMASを動かすことがフェイスリフトの基本」と言えるでしょう。そして、基礎が確立した後には更なる方法論が生み出されていきます。

より複雑な術式として生まれたリガメント法

SMAS法はフェイスラインに強いですが、80年代になると、より広範囲での改善を求められるようになります。例えば、ほうれい線の改善です。

この要望に応えるために、SMASより深いところにアプローチする方法や、SMASをより大きく動かす(引き上げる)ための方法論が考案されました。

そして、SMAS法をベースとして、より複雑な術式として開発されたもの一つがリガメント方式なのです。

再三の復習になりますが、

一番上に、皮膚。
その下に、皮下脂肪。
その下に、筋膜(=SMAS)。
その下に、表情筋。

そしてこれらを貫く“杭”の役割を果たしているのがリガメント(靭帯)です。このリガメントを一度切断することで、それぞれの層がより大きく動くようになります。

この術式はフェイスラインだけでなく法令線まで強力に引き上げることが出来ますが、顔のかなり深い所で施術を行うため、顔面を走る神経損傷のリスクが問題視されました。

もちろん歴史を重ねて安全性の面でも当時(80年代)とは比べ物にならない程、現代の技術は進歩していますが、人が行う事である以上、そういった合併症のリスクがゼロになることはありません。

リガメント法は、SMAS法をベースにより「複雑」にした術式ですが、明確に優れた術式とは言えないのはこういった理由のためです。だからこそ、2020年の今になっても「SMAS法かリガメント法か」といった議論が残っているのだと思います。

・・・話を歴史に戻しますと、80年代にリガメント法が生まれた以降でも、また新しい方法論が開発されていきます。

バランスの良い「lateral SMASectomy」が登場

「ハイリスク・ハイリターン」であるリガメント法の登場以降、フェイスリフトの技術は安全性との両立を重要視するようになります。

そうして90年代に生まれた技術が「lateral SMASectomy」と表記される技術です。読み方としては「ラテラル スマセクトミー」となりますが、対応する日本語での施術名は存在しないようです。

「lateral SMASectomy」は、SMASを切除して引き上げる、というシンプルな術式です。

70年代に出てきたSMASを利用した方法は、糸で引き上げる方法でした。一方、ここで開発されたのは、SMASを施術で小さくしてから引き上げる、という違いがあります。

「lateral SMASectomy」は安全で効果的な方法として世界中の美容外科医に普及しました。具体的なメリットとしては以下が挙げられます。

・主要な顔面神経が無いところでの施術なので神経損傷のリスクが少ない
・SMAS(筋膜)そのものを切除することで長持ちする(と言われている)
・数年後にメンテナンスで受け直すことができる。
・手術時間も比較的短い(3~5時間程度)

このようにバランスの良い方法です。

これだけだとリガメント式より優れているように見えますが、原理原則として「ハイリスク・ハイリターン」です。これについてはまた後程詳細に触れていきます。

さて、世界中に普及したとされる「lateral SMASectomy」ですが、日本でこれを謳っている美容外科は無いように思います。その理由ですが、おそらく商売上の理由と推測されます。「lateral SMASectomy」と言われてもイメージが湧きません。代わりに日本で普及している言葉は「切らないフェイスリフト」や「切開リフト」、「プチフェイスリフト」などです。フェイスリフトの歴史を理解した上でようやく理解できる施術なので、もっと分かりやすい言葉でアピールしてきたのではないかと。

その結果、単に「切るフェイスリフト」や「SMAS式」で謳っているクリニックが「lateral SMASectomy」を採用しているケースが見られます。このあたりはクリニックの先生に、どういう施術をやっているのか、質問して確かめる必要がありそうです。

時代の雰囲気が生んだ「切らないフェイスリフト」

さて、フェイスリフトの歴史編の最後ですが、最近になって登場したのが「切らないフェイスリフト」です。

リガメント法以降、医学の世界では安全性を重視するムードがありました。またその一方で、アンチエイジングに悩む人々においては、もっと気軽で安全な施術を試しみたい、そんな雰囲気が生まれていきます。

その結果、一つのジャンルとして確立したのが「切らないフェイスリフト」です。

これは特定の治療技術を指すものではありません。切開手術ではない、既存の美容整形のメニューをフェイスリフトに当て込んだものと言えます。

例えばこれに該当するのは、ヒアルロン酸やボトックスの注射、サーマクールなどの照射、糸を使ったスレッドリフトアップ等です。これまでに紹介した手術とは全く違うもの、と言っても過言ではありません。

フェイスリフト手術は「リスクとリターン」で評価する

フェイスリフトの歴史を見てきましたが、80年代までは効果を追求し、それ以降は安全面、直近では市場のニーズに合わせて手軽さが押し出されてきたように思います。

この動きから明らかなのは、効果が高い施術ほどリスクも高い、ということです。そして効果が高いものは、より深い組織に、強い施術しているものになります。

フェイスリフトを検討している方は切るか切らないかで一度検討すると思いますが、これは期待できる変化や維持期間が全く異なります。単純に、糸リフトやレーザー照射より、切開する方がリスクも効果も高いと言うのはしっかり理解しておく必要がありそうです。

大まかには以下のように整理できると思います。下に行くほど「ハイリスク・ハイリターン」です。

・切らないフェイスリフト全般
・プチフェイスリフト全般
・糸を使ったSMASの引き上げ
・SMASの切開リフト(lateral SMASectomy)
・リガメント法

まずはリスクを抑えてリストアップを体験してみたいという人は「切らないフェイスリフト」から試してみるのがいいのかもしれません。

リガメント法は本当に効果があるのか?

それでは、本気でたるみを改善していくならリガメント法がベストなのか?

これは難しい質問です。

まず、リガメント法の効果が高いというのは「おそらく正しい」と思います。

何事もそうですが、より一層、構造的に深いところへ働きかける施術の方が効果は高いでしょう。SMASを引き上げる際も、SMASを他の組織に繋ぎとめているリガメントを切断して動かす方が良さそうだというのは、何となく想像できることでしょう。また当然のことながら、リガメント法の効果については医学的なエビデンス・論文も存在します。

しかし、逆に、「リガメント法まで実施しても効果は変わらない」とする論文も存在します。また、リガメント法でやっても改善しなかった人、もしくは改善しても長く持たなかった人もいると、クリニックの先生に聞いたことがあります。先生方の「体感」ではありますが、リガメント法だから特に良かった/長持ちした、というのはあまりなく、他の切開リフトと大差はないとのことでした。

物事に100%ということは無いと考えておく必要がありそうです。研究レベルで結論が出ていない以上、クリニックの先生の考え方により判断は異なってくるでしょうし、どんな施術であっても、体質的に合う人・合わない人がいるのは当然のことだと思います。「真の正解」というのはないのかも知れません

しかし、だからこそ、100%で無いならリガメント法の持つリスクが大きすぎると私は思います。

「大抵の場合、上手くいく」とは言え、「万が一で、その後の人生を毀損する」というのは、果たして天秤に釣り合っているのでしょうか。

おすすめの術式は?

「SMAS法とリガメント法の違い」と題して考察してきましたが、要点を一度まとめます。

・筋膜(SMAS)をリフトアップするのがあらゆる施術のベース。
・筋膜(SMAS)をより大きく引き上げて固定するために靭帯を処置するのがリガメント法。
・リガメント法は「複雑」な術式ではあるが、その効果については、肯定/否定、両方で研究論文が存在しており、明確に優れたものだとは断定できない。
・現場の体感としては他の施術と満足度・効果持続に差が見られない。
・どの施術であってもリスクとリターンが存在する。リガメント法のリスクは大きすぎる。

もし、あなたがたるみに悩み、切開リフトを検討しているなら・・・

結論として、私自身は安全性の高い施術を選ぶことを推奨いたします。

具体的には「lateral SMASectomy」のことです。筋膜からしっかり引き上げる一方、顔面神経に対する損傷リスクも無く、もし効果が小さかったとしてもまた施術を受けることが可能です。

切開リフトは「確実にたるみを改善する施術」です。一方で、注射や糸によるリフトアップは、安価に手軽にリフトアップを体験できるものの、効果は一時的で長持ちしないというのが、個人的には望ましくありません。針であれ、糸であれ、メスであれ、顔をいじる回数は少ない方がいいと思います。例え医学的には大丈夫であっても、ですね。ここは気持ち的な問題と言いますか。

しかし、そもそも「切るフェイスリフト」自体が怖い方もいるかと思います。それであれば、たとえ効果が薄いとしてもまずは簡易的なリフトアップを試してみることが一番でしょう。

結局どの施術にも長所と短所があります。あなた自身でどれを受けるべきか考えなければなりませんが、今だけでなく5年後くらいまでを見据えて考えていくことを推奨いたします。

腕の良いクリニックの選び方

その先生が本当に手術の上手い方だったのかというのは、実際に施術を受けた結果でしか分かりません。

99%の成功率を誇る先生なのに、あなたが、残りの1%に入ってしまうかもしれません。それは終わってみないと分からないことです。口コミも、感激した人が書くから基本的に高評価になるのであって、その裏でどれくらいの人数がいるのかは分かりません。10人中5人なのか、1000人中5人なのか。もちろん安心材料にはなりますが、口コミや噂だけで選ぶのはよくありません。

腕の良い「名医」と出会うためには、きちんと段階を踏むことがおすすめです。

おすすめの選び方は、Webでの情報収集で候補を3つに絞り、そのクリニック全てでカウンセリングを受けることです。

上述したようにネット上の情報は安心材料になる一方、身体を預けるには十分だと言えません。実際に会ってみないと分からないことは多いと思います。

カウンセリングで確認したい3つの質問

大切なのは、ちゃんと複数のクリニックでカウンセリングを受けてみることです。最初に行ったところに何となく決めてしまうのではなく、様々な角度から話を聞いた上で判断するようにするといいでしょう。

この時、確認したいことが3つ、お伝えしておきます。

【1】カウンセラーと手術の担当は同じ人物か?医院によっては、施術当日に初めて会ってそのまま執刀ということもあります。驚いてしまわないように事前に確認しておきましょう。もちろん、カウンセリングと手術が同じ先生だと安心感が増すのは言うまでもありません。

【2】どのような手術を行うのか?気にする人も多いでしょう。詳細を知っておきたい事や疑問、不安があれば必ず確認しておきましょう。大切なのは、難しい質問を投げかけた際に相手がどのような対応を示してくるか、です。知識そのものよりも、こういう会話で信頼できるかどうかが見えてくるので、積極的に相談してみて下さい。

【3】手術後のメンテナンスやアフターフォローはどうなっているか?基本的な質問ですが、ここの解答で、そのクリニックの施術への考え方や、患者との距離感が分かります。

リピート率が高ければ名医、とはならない

施術への考え方というのが非常に興味深いので、これを最後に伝えたいと思います。

リピート率は高い方がいいとは限らない、ということです。なぜなら、そう何度も手術をするものではないからです。そういうクリニックの場合、患者さんへの身体の負担は少ない方がいいというポリシーでやっているのかもしれません。

逆に、リピートの数も多く確率も高いというクリニックは、段階的な施術を推奨している可能性があります。つまり、最初は切らないフェイスリフトを試し、徐々に強い手術に移行していく、ということですね。これも悪い考え方ではありません。切るフェイスリフトは心理的な負担が大きいものですので、それに寄り添った方針と言えます。

まずご自身の気になっているところをしっかり担当医に伝えてください。そこから生まれる会話の過程が一番大切で、あなたにとって名医かどうかを考えていくことができるでしょう。ダウンタイムの長さや程度、効果や持ちなどをよく確認し、あなたにとっての「フェイスリフトの名医」を選んでください。

(捕捉)糸リフトの安全性と効果について

切らないフェイスリフトの代表格として挙げられる糸を使ったリフトアップですが、真剣に顔のたるみで悩んでいる方には推奨はいたしません。

糸を使ったリフトアップのメリットは

・皮膚の切開が必要ない
・ダウンタイムが短い
・総じて、負担が少ない(金銭的にも肉体的にも)

一方、糸を使ったリフトアップのデメリットは

・効果が長持ちしない
・抜本的な治療ではなく、むしろたるみが加速する可能性がある

皮膚の切開・除去をしないということは、引き上げた際に、皮膚の余りが出るということです。これが偏ることでその部分に新しいたるみが生じるケースがあります。

つまり、糸リフトは手軽な引き上げを体験できるものでしかなく、長期的な効果を期待するものではありません。

何を期待できるのかを明確に理解した上で活用するするのは良いと思います。過剰な期待はされない方が望ましいかと。

また、近年ではSMASにアプローチする切開リフトの工程で、糸も併用する方法が報告されています。切るフェイスリフトのクリニックで糸の話が出て場合、このことを指している可能性があるので、詳細を確認してみることを推奨いたします。

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